『これは間違いなく夢だな』
久しぶりにあの子と話したから、いつの間にか寝てしまったようだ。
明晰夢で、初めていいところに来た。
空気が澄んでいて、透明な場所。
Qはとりあえず進むことにした。
どんどん進んでいくと、吊り橋が見えた。
大好きな吊り橋を前に、Qは初めてビビッドカラーになった。
鮮やかな吊り橋タイムを終えると、少し開けた場所に着く。
すると突如、走馬灯が走った。
思い返せば、自分は研究のために生きてきた。
遊びに行ったこともない。
旅行に行ったこともない。
でも、研究のために海外へ行ったことはある。
『…』
AANを開発したのは自分のためだったのに、人類のために変わっていた。
そして、自分が心を失っていく間に、他の人類は心を満たしている。
自分1人さえ鮮やかにできない私が、他の人類を鮮やかにしている。
『変な世界。人のために生きることが美しいと誰が定めたのか?』
夢の中では正直に、真っ白になれる。
走馬灯が終わると、目の前に美しい小川が広がっていた。
Qは息を飲み、深呼吸する。
爽やかな緑色の心と、エメラルドグリーンの川がコラボレーションする。
『夢から覚めないと。』
そう呟くと、勢いよく小川へ飛び込んだ。
目覚めると、モコがスマホを枕に寝息を立てている。
モコの顔を少し避けると、時刻は3:00を示していた。
Qは起き上がり、mokoにさっきの緑色を登録する。
そして緑色のプラネタリウムを見ていると、緑色の空から声が聞こえた。
“巧言令色、鮮なし仁”
Qはこちらでも、ビビッドカラーになれた気がした。
つづく
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