「さて、どうしようかな〜」
ANN(アンチエイジングナノロボット)の設計図を見つめながら、Qは頭を抱えていた。
Qはずっと透明だった。
周囲の「無理だ」という黒い意見を無視し続け、
自分を蹴落とそうとしてくる黒い人を無視し続けてきた。
だからこそ、天才と言われるほどの研究成果を上げてくることができた。
そしてやっと、透明から白になれた。
しかし、心というのは「誰かと関わること」で変化するものだ。
Qは今まで、深く人と関わってこなかった。
他の人には赤(#dc143c)や黄色(#ffd700)、橙色(#ff4500)など様々な色がある。
研究室には自分と研究補助ロボットしかいない。
ただひたすら、一人で、研究を続けてきた。
Qは初めて、研究に行き詰まりを感じていた。
「猫を飼ってみようかな」
そんなことを思ったのは、マンションの駐車場の隅っこで
捨てられていた子猫を見つけた時だった。
生き物は苦手だったが、猫だけは、
なぜか好きだと感じていた。
猫に対してなら、もしかすると桃色や赤色になれるかもしれない。
人に対しては、絶対に抱けない感情を持てるかもしれない。
mokoの代わりに、この子が別の色を見せてくれるかもしれない。
Qは脊髄反射のように、猫を家へ連れて帰った。
猫には、Qが開発したロボットmokoと同じ「モコ」という名前をつけた。
モコはQが帰ってくると、綺麗なブルーの瞳で見つめながら出迎えてくれた。
Qはモコと見つめ合うと、心が軽くなる気がした。
「モコの目の色は、今までのどの青より美しい」
Qはmokoに、モコの目の色を登録することにした。
その日からQは、モコの目の色の空で、
プラネタリウムを楽しむことができるようになった。
つづく
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